2019年8月26日月曜日

白馬の森の女王

夏休みです。有休と土日で3日間、夏の白馬・栂池高原に参りました。ここは20年ほど前に家族で訪れたことがあります(記憶が薄い・・・)。中日に朝から栂池高原の入口駐車場に車停めてゴンドラに25分乗車、終点でロープウェイに乗り替えると栂池自然園の入口に到着します。
栂池高原
栂池自然園は湿原などを5.5キロ周回するトレッキングコース。木道が整備されているところが多いですが、木の根っこだらけの狭い斜面もあって、最低スニーカーじゃないと歩きにくいです。ゲートの標高は1860m。一番高い所でも2020m。3歳くらいの子どもたちから本格装備のシルバー山ガールまで、大勢の人で賑わっていました。

私は普段履きのスニーカーで湿原の木道をポクポクと歩きます。風は清涼で曇ると寒いけど、日射があると暑い感じ。山々には所々雪渓が見え、また滝が落ちています。湿原には小さい白い花、青い蕾みたいな花が風に揺れています。はぁーーきっもちいいー。この空気、持って帰りたーいと皆思っていたでしょう。
赤トンボが飛ぶ中、ひらっとタテハチョウが木道に舞い降りました。翅を拡げると黒地にきれいな瑠璃色のライン。ルリタテハです。全国的に生息するそうですが、見ないよねー。直ぐに舞い上がり見えなくなってしまい、写真撮る間もなく残念でしたが一瞬の感動でした。
風穴(犬夜叉じゃないよ)の残雪
岩が積み重なった中の洞には残雪が少々。中は冷蔵庫みたいな気温。20年前にもここ見た覚えがあります。道は上がったり下がったりで、そのうち清流に木橋がかかっています。河原に降りてみて、水に手を浸けると、冷たーい!! じっと浸けていると痛くなるほど。流石は白馬山系から滝となって落ちてくる水でした。
楠川の清流
清流の中。泡が炭酸水みたい。上が水面です
木々の間からは(多分)ミソサザイの囀りが聞こえ、池では大きなトンボが水面にお尻をチュンチュンつけながら飛び回っています。産卵でしょうか。水の中には黒っぽい生き物が「ミョン」と移動していました。ヤゴ?
ハート型orクマさん型の水溜りがありました
最遠地点では白馬大雪渓を望めました。白馬岳と杓子岳の間に拡がる雪渓は有名だそうです。ガスがかかるとすぐに見えなくなったりしますが、見ごたえ十分でした。一回りの時間は3時間半。2~5歳位の3姉妹も完走してました。よくあのちっちゃい足であの道歩いたなと感心してましたが、ゲートに帰ってもなお走り回っていて、あのパワーはどこから湧くのかほんま不思議。
白馬大雪渓 左が杓子岳、右が白馬岳
14時半にゲートに戻り「サルナシソフト」タイム。サルナシって何やろって、私も知りませんでした。マタタビの仲間でキーウィフルーツの先祖だそうです。へーぇ。キーウィみたいな黒い種がソフトクリームにも入っていました。
ソフトと言うよりシャーベット感覚。ほんのりとした甘みがありました。その後ロープウェイ乗場へ。ギリ15時発のロープウェイに乗り込んだものの、車内で添乗員から只今ゴンドラが停電で止まっているのでゴンドラ駅で待機していてくださいとアナウンスが。なるほど少し離れたゴンドラ乗場には大勢の人(170人とか言ってた)が所在なさ気に立ったり座ったり。ゴンドラはビターッと停止し風に揺れています。強風のスキー場では間々ある風景だけど滑って降りる訳にいかんしね。

係の兄ちゃんが「停電で現在予備電源で乗ってる人を収容中」と案内があり、更に20分ほどで「マイクロバスで代行輸送」とありました。辺りは自家発の臭いが立ち込めてます。間もなく代行輸送のマイクロバス到着。これが「痛バス?」。黒いボディに”ARE YOU READY? SPICY RENTALS”と大書きされノリノリって感じ。勿論答えは”Yeah! WE ARE READY!"だわな。マイクロですから20名余で一杯。間もなく次のが来ました。これまた黒のボディーに”SESSIONS”。レジャー会社の送迎マイクロなんでしょうね。ドライバーは日焼けした兄ちゃんたち。2種免みんなもってるんやーとちょっとびっくり。我々は4台目に乗車で、結局5台と車椅子用の軽バン1台で輸送完了したようです。
代行バスはこんなだったー!

痛バスに乗り込む皆さん
バスはゴンドラ中間駅まで20分ほどを曲がりくねった細い道を(上手に)走って降りました。無線の交信聞いていても手際よく、隣に座ったおじさまは「慣れとるからなー」と言ってました。そうなん? でも陸運業出身の私が見てもスムーズな代行輸送でしたよ。中間駅からは折り返し運転中のゴンドラに5分ほど乗って下山できました。

今回初めて見たのは災害用自販機。停電ですからゴンドラ駅の自販機も真っ暗。ですが、あれってバッテリとか積んでるのかなと思ってたら、手回し発電で充電するのね。スタッフなのかお嬢さんが一人、正面左側に取り付けたハンドルを一所懸命回していました(普段はカバーがかかっています)。そのうちインジケータランプがグリーンになって充電完了。何本買えるのかは不明ですけど、見たの初めてでした。
災害対応自販機 手動充電中
翌日の帰路、白馬ジャンプ台に立ち寄りました。ラージヒルの展望デッキなんて「ひゃー」ってほどの高さです。登る途中の階段は網網で下が丸見え。カミさんは途中でリタイアしました。ここに来るまでのタワー内はEVに乗ります。女子選手が1名一緒でした(選手優先ですが、いいよいいよって言ってくれた)。あとで見たらその日の練習チームは「全日本女子」。びっくりして更に調べたら平昌五輪に出場した岩渕香里選手でなかったか? SNOW JAPANの強化選手でもあり、小顔、ショートヘアに大きな目ですらっとしたお嬢さん。束の間でしたし確かめようはないけれど、今後断然応援しちゃいます。
ラージヒル展望デッキより。右のはノーマルヒル
デッキへは、こんなスケスケ階段を登るのだ
最後にチョウチョの話。ホテルの屋外通路のテラコッタ上に黒いチョウチョが落ちていました。大きな美しい蝶です。あ、カラスアゲハ?触角が動いているので生きています。そっと指を差し伸べると細い足でしがみつくように乗って来ました。飛びあがろうとしても、どこかに衝突でもしたのでしょうか、翅の一部が欠けていて上手く飛べません。やむ無く通路脇の花壇の花に止まらせました。せめて蜜でも吸って(好みは判らんけど)生きながらえて欲しいと思いました。カラスアゲハって飛んでいると真っ黒にしか見えませんが、翅を拡げてみるとマイカ塗装のように、深いブルーの光沢が混ざり、息を呑むほどの美しさです。女王ってこんな感じ?と思いました。栂池から帰ってきて同じ場所を見るとまた地面に落ちています。飛び立とうとして不時着したのでしょう。また指に載せて花の上に載せましたが、中の方へ入りこんでしまった…。ま、いいか、表に出てると危ないのでそのままに。その夜は激しい雨でした。翌朝、同じ場所を見てももうどこにいるのか判りません。あの状態ではそう長くないなと思うものの、あの美しさ。切ない思いにかられました。
これ偶然なのかな。只今制作中のWEB小説次作は、タイトルが”FLY AGEHA”でして、翅の欠けたアゲハチョウが羽ばたこうとするシーンがあるのですね。想定は普通のアゲハチョウだけど、それに自然界ではよくある事なのかも知れんけど、引き寄せられた気もしました。
厳密な種類は判りませんが、翅がボロになってます
夏の明るい山林には美しい哀しさがありました。

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