2015年9月29日火曜日

しまなみ海道を往く

先週末、かねてからの希望「しまなみ海道」を走ってきました。話題が多く長いブログっす。

しまなみ海道を走るには、車載で行くにせよ、自宅から数時間、海道を今治まで70余キロなので荷物や車やらどうしたら上手くゆくのかとか悩んで棚上げ状態でした。そんな時に見つけたツアー。奈良からバスで行け自転車はトラック積載で並走。実は昨年見つけたのですがスケジュールが合わす、今年こそと早々に申し込んでいました。落車のダメージが肩以外回復し、突如現れた台風も影響無さげでラッキー。

ツアーはワールドサイクルと大阪のショップ BECKONが主宰。参加者は10名。朝6時に奈良を出発、大阪市内2ヶ所に立ち寄り山陽道を尾道へ。自転車はバスのお腹の中。因みにバスは観光バス会社の基地から出発で車はクルー用?駐車場に停め置きさせて頂けるのでめっちゃ楽ちん。

しまなみ海道については私も下調べをし、3大目標を設定しました。すなわち ”因島のはっさく大福” ”生口島のドルチェのジェラード” ”伯方島の塩ソフトクリーム” のダブルアイス。

ツアーの主旨としては、連れて来たから、後は自由に走って決められた時間に今治のホテルに着いてね、なのですが何しろ初めてだらけなので、ショップのスタッフ(メカニックさんも居て安心)、同行してくれているサイクリングチーム:コラッジョ川西の豊田選手(何かで全国で20位の選手です。凄い!)にくっついて行きます。

◆向島
まず渡船で向島まで。名前通り、向かいにある島です。人車の運賃110円で船内でおっちゃんに払います。ほとんど川向こうって感じで5分で着きます。サイクリングコースには路上に青い線が引いてあり、それに沿って走れば間違わないと言うものの、交差点では消える訳で、また2方向に分かれる事もあり、慣れるまでは不安。向島内は余り変わった事なく、薄雲の下、のんびり十数台が走ります。すぐに因島への橋に入るアプローチライン。緩やかですが結構登るのでバカにしてはいけません。

◆因島
因島へ渡る因島大橋は2階建て。籠の中を走るようで楽しい(怖い人も居ます)。勿論景色もよくて、ここで既に満足。橋を渡ると右下に第1目標”はっさく大福”の赤い屋根が見えます。通常はぐるっと坂を降りて上がって行くそうですが、階段を自転車担いで降りたらショートカットとの事だったので、躊躇わず担ぎました。残念ながら「はっさく」は季節外れでなかったので「ぶどう甘夏」。美味!そして美景色!
はっさく大福の前です 因島大橋が伸びてくる!

因島大橋 中はこんなです。不思議と居心地がいい。

続いて因島内を走行。海岸沿いは割と平坦路ですが内陸部に向かうと少々坂があります。特にローソンを右折してから運動公園辺りはだらだら登ります。その後ブルーラインは海に向かって下り込み、左折。次の生口橋を潜って少しで橋への登り口があるのですが、今回はそのまま直進、大山神社に向かいました。どういう訳か自転車神社と言われる所で、冷たいおしぼりサービスとお茶まで頂き、流れでお守り購入。ハンドルバーに巻き付ける自転車用です。新作も続々入荷中とか?

自転車神社 いろんな所にチャリが隠れています
◆生口島
その後皆さんは「お好み焼き」に行かれたのですが、私はバス下車直前にチョコバーとか齧ってて半端な状態だったので先に第2目標に行かせて頂きました。生口島へ渡る生口橋は、複合斜張橋なるけったいな橋で、巨大なクリップが道路を抱え込んでいる感じ。ぐるっと回って車道に出て左折。海岸沿いの気持ち良い道です。沿道の学校では体育祭の練習をやっていました。そしてドルチェ瀬戸田本店到着。スタッフのSさんが先行してスタンバイ。レンタカーで都度先行し、写真撮影などのお世話をして頂きました。店内は老若男女で大賑わい。勝手解らず入ってきた人も多く、サーティワン風のオーダーに付いてゆけない年配者もチラホラでした。で、私は何頼んだんだろ、確かデコポン。柑橘系・美味しかった事しか覚えていない年配者の仲間入りですのだ。Sさんに手を振って次の目標「塩ソフト」へスタート。

生口橋 面白い形ですが技術の粋です
青空広がる海岸道路。交通量も少なく風も適度。これ以上何を望むかと言うサイクリングコース。今治まで50キロを切ったと路面のガイドが教えてくれます。外人さんのツーリングが多いのにもびっくり。クロスバイクを駆る夫婦?を何組も見かけました。緑の島々が点在する瀬戸内の穏やかな風景は、世界にもありそうでないのでしょうか。結構のんびり走っているので、この人達、今晩どこに泊まるの?と心配になったりもします。

きれいですねー ここを走れる幸せ

ブルーライン上にこんな標識が随所にあります
ダウンタウンを抜けると道は南向き。多々羅大橋が見えてきます。橋の北側トイレの横にアプローチ入口があります。これまた緩々と結構長く登るので、ママチャリの人は大変です。他にタンデムバイク、子供乗せ自転車、いろんな人がヒーハー言いながら登っていました。多々羅大橋はジャコメッティの彫刻の人が足で道路を挟んでいる風情。

◆大三島
渡って着いたのは大三島、ここからが今治市。もう少し時間があれば「いちごどら焼き」に突撃したかったのですが15時半になっていたので直進。路面標示に導かれるまま「サイクリストの聖地」なるオブジェを拝んだだけでした。そうそう、その手前にヘリコプターが鎮座していました。展示でしょうか、少なくとも先日見た京都府警の「へいあん」みたいに「いつでも行ったるえ!」オーラは感じなかったかな。

多々羅大橋とサイクリストの碑  前衛?
そのままR317を走ります。左手には海、右手には町の日常が広がります。秋祭りのワンシーンも見かけました。主役級稚児なのか小さい女の子が煌びやかな衣装で舞を披露していました。先の家々からは「祭」の法被を着たオッサンが駆けつけています。安野光雅さんの絵本の情景が、流れ絵巻のように過ぎて行きました。そして歩道には大きなリュックに簾?葦簀?を載っけたYOUらしき髭モジャ外人も出現。安野さんが仕掛けたトリックだったのかも知れません。21世のウォーリー。

大三島から塩ソフトの待つ伯方島へは可愛いアーチ橋・大三島橋を渡ります。このアプローチはひねってあります。きれいなR317を機嫌よく走ってると、突如道がなくなり、細っこい道が右脇に。看板なければ行っていいのかなと躊躇する道です。でも大丈夫、すぐに2車線に戻って、右手にアプローチ入口があります。ここもクネクネと、しかも下りもあったりして幻惑。一旦橋の下を潜って右に折れ、更に左カーブしたらヘアピン状に合流ルートが分かれますので注意。そのまま行くと山の斜面を下って遭難します。

大三島橋 まあるいのが良いのですよ
◆伯方島
伯方島まではすぐですが、自転車道はR317へ右から合流。このR317は少し登りが多いです。タラタラといつまでも続く感じ。荷物満載のランドナーがしんどそうでした。有料自動車道入口を過ぎたらすぐ右手に「マリンオアシスはかた」。名前ほど洒落た感じではなかったかな。でも小さな砂浜があり、迫りくる夕暮を待つには良い場所です。で、塩ソフト。食券買って頼むのですが、「塩一つ頂戴」「あい、甘塩!」とバイトの兄ちゃんが渡してくれました。甘塩? 一口なめると「あまっ」。微かに塩気がないでもない普通のソフトクリームでしたのだ。まあいい、浜辺に腰かけ他の皆さんを待つ事にして駐輪場を眺めると「Oh!GARNEAU発見」。自分以外で初めて外で見かけるガノの自転車。車種は違いましたが乗ってる人は他にも居るんやなーと感激。持ち主はなかなか現れず、ツアーの人達も現れず、20分後腰を上げ出発。何しろまさか皆さんが因島で目当てのお好み焼き屋の閉店時間に間に合わず「お好み焼き難民」になってるとは露知らなかったものですから。

塩ソフトを食べながら、穏やかな浜辺で夕凪を待つのです
◆大島
次なる大島へは「伯方・大島大橋」を渡ります。アプローチは橋の手前でヘアピン状に左折。橋そのものは普通の形で距離も短くすぐ大島に着きます。車道に出たら右折。左手に海を見る道路です。暫く走って橋を渡ったら右折。R317を山の方へ向かいます。自動車道をアンダーパスする辺りから本当の坂っぽくなって来ます。聊かげんなりし始めた頃、吉海町に入り、今後は爽快な下り坂。所がその次再び登り、今度下ったらダウンタウンに入ってきます。実はここから北の方にあるベーカリーも狙っていましたが、時刻は既に17時前。今更パン屋行ってどうすんねんと自然却下。直進すると登って下って海へと降下、突き当りを右折。最後にしてビッグワン、来島海峡大橋に向かいます。

◆来島海峡大橋
4kmの橋です。これを渡ると四国、それに丁度夕暮れ時。ちゃっちゃと渡るのは勿体なく、時速15km程度の各駅停車。空には薄い雲がかかり、淡いオレンジに島影が濃淡に重なって墨絵のようです。海は夕凪、と言いたい所ですが、島と島の間は瀬になって、所々渦を巻いています。内海は操船が簡単なんて見くびると急に引き込まれたりしそうです。次第に変わってゆく空や海の色と表情、大きな空っぽに気持ち良く吸い込まれそうになっていました。多々羅の名所・鳴き龍は気づかず通過してしまいましたが、橋の先ではクレーン龍たちが頭をもたげて船を造っているのでした。

堂々の来島海峡大橋 

瀬戸は日暮れで夕波小波 ♪
◆今治上陸
自転車道はぐるぐる回って一般道に出て、そのうち「今治市街」の看板がありR317に当たります。一時は1車線だったR317もここでは4車線の立派な道。テールライトとヘッドスモールライト点滅で走り、途中で今治城方面へ左分岐、商店街を進みます。20分程で目的地のホテルに到着。スタッフさんによって運ばれていた荷物を受け取って「たんちょう」とともにチェックイン。17:50でした。ここまでの走行は82.3km,実走行時間4hr6min,平均時速は20km/hジャスト。恐らくロードバイク初心者でもこれ位で走れると思いますが、本当は午前中スタートで、もう少し寄道していろいろ観ながら走るのが似合う道と思いました。それに海道とは言え、車で走った方はご存知の通り、トンネルだらけですよね。島は山が沈降して出来たりするんで凸凹あります、すなわち坂道はありますのでそう思って臨んだ方がショック少ないです。

「しまなみ」とはよく言ったものだと幾度も思いました。海で隔てられ個々に育った島の生活や習慣が、繋がり重なる事で拡がったり、そのまま受け継がれたりと、波のように揺れて包まれてゆくのです。反面、瀬戸の花嫁も「あっ」と言う間に嫁げます。幼い弟も泣いたりしません。チャリで遊びに来ちゃいますから。

帰路は別ルート、続編を準備中。スタッフ並びに同行の皆さま、有難うございました。 m(__)m


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