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その娘とはL1198惑星の宇宙ステーションで出会った。
お隣のL1123惑星行きのローカル線ホーム。 髪の色は 七色。
僕は留学先からの帰りだった。お気に入りの音楽を聴いていたらふいに声が割り込んできたのだ。
∽ いつまで待つの?
「な、なんだよいきなり入ってきて。音楽聴いてたのに」
∽ 音楽ってなに? 私の星にはないの。耳がないもの。どうやって聴けるようになるの?
「え?じゃあ僕の声は何故聞こえるの?」
∽ 心で聞くの。みんなそうよ、ウチの星じゃ。音楽ってメロディのこと?
「まあ、そうとも言う」
∽ じゃ、心で聴ける? だって、あなたの気持ち、伝わるもの。
「え?」 ドキ、「君って何? 形は僕らと似てるけど。銀河のパスポートはあるのかい?」
∽ さあ、知らない。念じたらここに着いたの。まだ先に行きたいの。水車のところに。
時々髪から七色に光る粉が舞い落ちる。まるで虹のようだ。レディ・・・なのかな。
「ね、君って女性なの?」
∽ なにそれ。私は私よ。みんな胞子から育って透明の羽根を持つのよ。大きくなったからもう無くなったけど。
「それってエンジェル?」
∽ なにそれ。ね、まだ待つの?
「うん、まだ1時間くらい。おなかすいてる?何か飲む?」
僕はなんだかわくわくしてきた。だって可愛いよ。エンジェルでもガブリエルでもいいや。
すると、また彼女?の髪から七色の粉が散った。
∽ うん、飲むの大好き。だって植物だもの。
「えーっ?植物? 胞子から育ったって言ったっけ?」
∽ あなたの言葉では植物。私たちはそうは言わないけど。
叶わぬ恋かな、この出会い。僕はだんだん混乱してきた。
だって七色の髪を持つ、どう見ても女の子の、それも相当美人の、それで植物とこれからお茶しようとしてんだ。ばあちゃんに何て説明したらいいんだ?
∽ ごちゃごちゃ思ってるのね。面倒そうな生き方。
僕は取り敢えずホームの端にあるスタンドカフェに誘ってみた。
彼女?はふわふわついてくる。時々七色の粉がはらはらと舞い散る。
「何飲む?メニューここだよ」
∽ わからない。あなたと同じでいいよ。
「じゃ、アイスティーにするよ。ああっと、これ葉っぱから取ったエキスみたいなものだけど大丈夫かな?」
一瞬、僕の頭を「共食い」が横切ったのだ。そんな心配をよそに、彼女が顔にグラスを近づけると、グラスは一瞬で空っぽになった。
「え?どこから飲んだの?」
∽ どこからって、どこからでも普通に入ってくるわよ?
ポカンとした彼女に僕もポカンとした。コミュニケーションって難しい。
水分摂って元気になったのか、彼女は歌い始めた。七色の粉に ♪ ♪ ♪・・・
頭から足から入ってくるメロディ。さっき聞いていた音楽とは全く違う。なんだこれ。周りの風景さえ霧の中にぼやけて行く。昇天ってこのことかな・・・、天に還る? ハゴロモ天女?
”これこれ、お兄ちゃん、フネが入ってきてるよ”
スタンドカフェのおば様の声で、僕は急に我に返った。あれ?天女は?
”一人でアイスティー2つ頼む人は初めてよ。早く行かないと遅れるよ”
急かされた僕はL1123惑星行きの光速船に駆け込みシートに倒れ込んだ。フネはすぐに出発、Gを感じさせず真っ暗な宇宙に切り込んでゆく。夢でも見たのかな。
ふー 溜息ついて真っ暗な窓を見やると、少し離れて七色の光が一筋流れて行くところだった。
∽ 先行くね、待ちきれなかったよ。でも、あなたって面白いね。
クスクス笑う声が歌のように頭から足まで通り抜けて行った。さっきの天女か?
くそー、でも追いついてやるよ、水車の所で。何だか逃がしたくない。待ってろMyプリンセスかぐや。 袖口と心に残った七色の粉がにわかに輝き出す。
夢幻の宇宙で恋のレースが始まった。
<続きません>
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こんなエスパーを嫁さんにしたら、食費は助かっても後々大変と思うのですが、まあ精々頑張ってくれ。 もっとも、ラムちゃん超えは間違いなし。
MRJ飛びましたね。早速私もFSでFly! |
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