2016年4月22日金曜日

スペース・ラヴ後編 第4話

故あって本日休み取ってTOJ京都コースを2周。午後からは昨日の土砂降りが嘘みたいに晴天となり、日焼け止めも効かず真っ赤になってしもた。


スペース・ラヴ後編第4話。新たな登場人物が出現します。

<長老 来たる>

僕がレポートを書いたり勉強していると、背後からワラはそれを覗き込んで、まるで水を吸収するように知識を吸収する。文字が読めるわけではないのに、僕が覚えた事、考えた事がそのまま入ってゆくみたいだ。便利というか、要領がいいというか微妙な所だが、ワラにとってはメロディも情報も同じようなものらしい。水の星ってひょっとしたら潜在的なパワーを持つエスパー星なのではないだろうか。あどけない、しかし美しいワラを見ながら、まこと、これは歴史上の巡り会わせなのかもと心が震える瞬間があった。

或るのんびりした休日の事、階下でワラの声(正確には交信)が聞こえた。

∞ ケーイ、長老がみえたよー。

え?なんて突然。そんな話聞いたかなと思いながら僕は階段に向かった。この前長老について、どんな人?(人じゃないけど)って聞いた時、ワラは 素敵な方だよって言ってたっけ。もしかしたら長い七色ヒゲ爺さんではなく、初老のイケてるジェントルマンなのかも知れない。僕は気を引き締めた。

長老は玄関のドアの前、ワラの後に立っていた。

「え? おー? び・・・美人!」僕はひっくり返りそうになった。

$ 初めましてケイ。ワラを救って頂いて有難う。

長身の、まるでモデルのような超美人はにっこり微笑んだ。た・・・確かに素敵な人だ。

∞ やっぱりデレデレしてる。ケイっていつもこうなんですよ。  ワラは口を尖らせた。

「いや、だってさ、だって思ってたのはもっと爺さんでさ、こう、ステッキかなんか持っててさ…」僕は慌てた。「でもまあ、あの、に・2階にどうぞ」 気を落ち着けるべく僕は階段を踏みしめた。
ソファに優雅に座った長老は、ささやかに七色の粉を振りまいて

$ ケイは私達が吸収できる水を作ったんだってね。本当に有難いわ。水の星を代表してお礼を言います。

100万ドルのスマイル、これはやっぱり長老の品格なんだ。僕は緊張してレモンティーを淹れた。

$ ケイ、ちょっと驚いているわね。私たちにはあなた方のような性別はないのよ。植物だから雌雄同体と言うのかしら。

そう言われるとその通りだ。わざわざ別構造を持つ必要はない。何故今まで気づかなかったのだろう。
「あの、確かに、そう言われればそうですよね。それで、あなたの事はなんてお呼びすればいいのでしょう?」

$ あなたたちの言葉にすると、クイーンって呼ばれてるわ。

クイーン、女王。なる程相応しい呼び名だ。きっと年長と言うだけでなく、品格や能力も秀でているに違いない。僕なんかが話して良いものだろうか。僕は少々気後れしだした。クイーンは少しワラと話した後、僕に向き直って言った。

$ それで、ワラと暮らすに当たって、ケイには知っておいて欲しい事があるの。きっと今後重要になる事。星の資源に詳しいあなたにだから話せることなのよ。ワラも聞いておいてね。まだ知らない事があると思うから。

どうやら結婚式のスピーチレベルの話ではないようだ。僕は真面目に向かい合った。


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TOJコースの後半、ダウンヒルの続く山中・田園地帯は、すっかり慣れたウグイスの囀りとカエルの合唱。八重桜は誇らし気に、ハナミズキは清楚に、春の日を浴びて咲いていました。今は蓮華の可憐な花が風に揺れる田圃も、間もなく水が張られて、稲の苗が揺れることになります。四季があるって良いものですね。

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