2016年4月13日水曜日

スペース・ラヴ後編 第3話

富士重工が日本カヤック連盟にレガシィ・アウトバック等を寄贈したと言うニュースを聞きました。競技カヌーと私のまったりカヤックでは比ぶべくもありませんが、同じパドルを握るものとして大変嬉しい。普段の移動手段だけなら軽のR2で充分と思いますけど、フォールディングカヤックと言っても、本体にパドルにシューズにメンテ用具にと結構嵩張るものです。これらをポンとカーゴルームに入れられるワゴンはやはり便利。その上、後席でこっそり素っ裸になって着替えたりもできますからね。アウトドアスポーツとスバルは仲良しです。ではスペース・ラヴ後編第3話。

久し振りに見た富士山はすぐに雲にお隠れになりました

 <ケッコンって?>

∞ ねえ、ケイ。今更だけど、ケッコンって何?一緒に居ること?   ある日ワラは唐突に言った。
「はあ?知らないの? だって、ばあちゃんと結婚式の話とか、してたじゃない。」

∞ だって、おばあちゃんはさ、『で、あんた達はケッコンするんだよねえ?』って言って嬉しそうにするからさ、私も解らないけどウンって言っちゃったの。そしたらおばあちゃんはもっと嬉しそうで、私も嬉しくなっちゃったよ。で、何の事?

「はあー、だけどさ、水の星の長老さんにも届けたんでしょ?」

∞ うーん、ケッコンって言葉、知らないからネレイス星にいますって言っただけだけど、おばあちゃんはケッコンって思ったみたい。

おお、そのレベルでここまで来たのか。なんと暢気な大らかな。尤も僕だって、僕たちの結婚が本当に成立するのか実感がなく、また調べもしていなかったからあんまり人の事を言えたもんじゃないけど。
「結婚ってね、一生仲良く一緒にいるって誓い合って、周りからも認められることだよ」

∞ なんだ。じゃあもうケッコンじゃない、ケイと私。

んーまあ、届け出とか手続きを除けばそうとも言える。
「でもね、普通は結婚するときにパーティを開いて、たくさんの人に祝福してもらうんだ。僕たちはそういうのまだだから、結婚とは言い切れないんだよね」

∞ ふーん、それにおばあちゃんも来たいのね。じゃあ、まだケッコンじゃない。オーケイ。

やはり一般のお嬢さん達が想う結婚観とは程遠いようだが、まあいい。
「でもさ、その時には水の星から長老さんや他のフィリーさんが来てくれるんだよね?」

∞ 呼んだら来るよ。みんなケッコン知らないから、面白そうって来るかもね。

一体どんな長老だろう。長い七色のヒゲ爺さんなのだろうか。ステッキとか持ってて、振ったら虹色の粉が撒かれるのだろうか。リリーの長老は金銀の粉を撒いてくれるのだろうか。これは結構パーティに相応しい演出かも知れない。僕は急に長老に会いたくなった。
「ね、その前にお会いできるかな。長老さんに」

∞ うーん、お願いしてみる。

単に結婚パーティへの期待だけでなく、実は僕には解明したい事があったのだ。L1123惑星ネレイス星の水を吸収した途端に、虹色からアクアブルーになったワラの髪と粉。これって資源選別のためのマーカーになるんじゃないか。ワラは免疫って言ったけど、実はとんでもない試薬が出来るかもしれない と僕は考えていた。勿論ワラ達を実験になんて使えっこないけど、少し粉や髪を分けてもらえないかと虫のいい研究者魂が頭をもたげていたのだ。上手くゆけば、資源開発だけでなく、水の星の皆さんの移住にだって役立つかも知れない。
僕たちの結婚ってもしや銀河のエポックメイクな出来事かも知れないと、密かに僕は思い始めていたのだった。

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予定では後編は短いながら15話まであるので少々焦っております。

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